山口旅行記

山口の旅行に石田夏穂「ケチる貴方」とルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」を持っていく。どちらも面白くて少ない泊数のあいだに読み終わった。特にルシア・ベルリンの波瀾万丈さを生活圏外で読めたことは嬉しい。

8年ぶりの山口。タクシーの運転手に「何も変わっていないでしょう」と聞かれたけど、私の知ってるイズミはゆめタウンになってるし、家の近くに知らないパン屋さんや和食屋さんが出来ていたりで結構変わっている。どちらかというと8年ぶりに会った祖父母が想像よりそのままで、そっちの方に驚いた。

着いた翌日には大津島にある回天記念館へ。山口に行く数日前にGoogle Mapを見ていると、家のそう遠くない場所に島があることに気付いた。今まで周りに何があるかとかに興味がなかったので、単純に驚いたのと恥ずかしい気持ちが混ざる。祖父に聞いたら、何回も行ったことがあるからと一緒に来てくれることになった。

神風特攻隊は聞いたことがある人が殆どだと思う。でも回天はあまり知られていないんじゃないだろうか。神風特攻隊は空から、回天は海から突っ込む。つまり回天とは人間魚雷のこと。
魚雷が運ばれたトンネルの中はひんやりとしていて、色んな意味で孤独で暗かった。こんなに綺麗な海なのにその中で計画的に人が死にに行った歴史があることが怖かった。記念館には家族に宛てた葉書や遺書、服、遺影がずらりと並んでいた。字体や遺影からその人の個性が見えてずっと辛かったけど、泣くのも違うと思ってじっと我慢した。

人間魚雷を発案したのは20代前半の二人の若者なんだそう。

終戦の年祖父は6歳。私が今生きている時代よりもっともっと目まぐるしく必死だっただろうな。

辛い歴史はあるけど、こんな綺麗な島なのだからもっと色んな人に訪れて欲しいと思う。

馬島港の近く

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その2

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魚雷発射場へ通じるトンネル

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発射場跡

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回天記念館に向かう途中の坂道
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