闘争、逃走、凍りつき

あれから読んだ本。

イラン・パペ「パレスチナ民族浄化」、アダム・オールサッチ・ボードマン「ゴーストの歴史」、柴田聡子「きれぎれのダイアリー」、ミン・ジン・リー「パチンコ 下」、カミーユ・エマニュエル「跳ね返りとトラウマ そばにいるあなたも無傷ではない」。

パチンコは一年越しの読了。ぐいぐい引き込ませる力があるんだけど、史実に基づいてるのもありエンタメとして消費できず、中々手を出せなかった。

「跳ね返りとトラウマ」は、フランスで起きたシャルリ・エブド襲撃事件に基づいている。当時風刺画家として働いていた夫は寝坊によりたまたま襲撃を逃れたものの、数分後に着いた時に見た凄惨な現場、犯人が空に向かって撃った威嚇砲によって深刻なトラウマを抱えることになる。本作はその「直接被害者」を支える著者の話。

「間接被害者」とは違う、被害を矮小化しない言葉は何か。そこで著者が出会ったのが「跳ね返り」。今までの自分の価値観を大きく揺るがすような出来事に出会うと、それによって影響を受けるのは本人だけではなく、当人の近くにいて支えることになる近親者にも当てはまる。しかしスポットライトを当てられるのは直接被害者のみであり、跳ね返りである彼らは「大丈夫?」とは聞かれず、「(直接被害者は)大丈夫?」と聞かれるだけ。

この「自分は被害者に値しない」というのはよく聞く話だ。以前友達が勧めてくれた能登半島地震についてのzoom講座で、現地の人の声を聴くと「●●に比べたら」、●●にいる人は「▲▲に比べたら」、▲▲にいる人は「東日本に比べたら」「だから自分の被害はまだましなんだ…」と言っていたと話していてとても印象的だった。

 

映画はシュエ・シャオルー「海洋天堂」、あーりんに激推しされたデヴィッド・セレン「ターボ」、チョン・ゴウン「小公女」、チャン・イーモウ「サンザシの樹の下で」。

これらは全部家で観て、先日バス・ドゥヴォスの「ゴースト・トロピック」を観てきた。映画館初め、良い映画だった。

 

それからジョナス・メカスの「Travel Songs」「幸せな人生からの拾遺集」を観たのも思い出。

ジョナス・メカスが美術館で、それも1000円で観れるなんて!ヨギボーみたいなクッションに寄りかかって観たから途中寝かけた。朝からうっすら続いていた頭痛が悪化したので途中喫茶店に寄る。コーヒーを飲むが治らないのでそのまま帰る。

翌日年を重ね、秋刀魚の3枚おろしを覚える。